学歴フィルターは見えない。だから推理し続けるのは、たぶん割に合わない
見えない選考配点を当てるより、受けたい企業の入口と今月変えられる評価材料を見る。その方が就活は前に進む。
学歴研究会偏差値表の外側を見る大学観察者学歴フィルターが怖いのは、そこに扉があるのかすら見えないからだ
「この会社、学歴フィルターある?」
就活が近づくと、この検索をしたくなる。 気持ちは分かる。 もし見えない足切りがあるなら、早く知りたい。
でも、この問いには厄介なところがある。 企業が大学名を選考のどこで、どれくらい使っているかは、外から完全には見えないことが多い。
配点表が公開されていない。
だからネットでは推理が始まる。 「この大学から内定者がいる」「説明会の枠が違った」「この企業はMARCH以上らしい」。断片から、見えない扉の形を当てようとする。
僕は、この推理を延々と続けるのはかなり割に合わないと思っている。
大学名の影響がゼロだからではない。 見えないものを何時間考えても、最後まで見えない可能性が高いからだ。
公正採用の原則はある。でも、それで全企業の内部までは見えない
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、応募者に広く門戸を開き、本人の適性と能力に基づいて選考することを求めている。
これは大事な原則だ。
ただ、このページを読んだからといって、すべての企業が大学名をまったく見ていないと証明できるわけではない。
ここは変に安心させない方がいい。
新卒採用では、大学、学部、専攻、成績、Webテスト、研究内容、インターン経験、ES、面接など、いくつもの情報が使われる。 その中で大学名が何点なのか、会社ごとに外から正確に知るのは難しい。
「学歴フィルターは必ずある」も、「もう完全になくなった」も、僕には言い切れない。
でも、言い切れないからこそ、そこに時間を全部使わない方がいい。
就職率98%を見ても、学歴フィルターの答えにはならない
2026年4月1日時点の大学生の就職率は98.0%だった。
高い数字だ。 でも、この98%は「大学名が採用に影響しなかった」という意味ではない。
就職を希望した学生のうち、どれだけが就職したかを見る統計だからだ。
ここから「学歴は関係ない」とも言えない。 「上位大学だけが得をした」とも言えない。
数字は正しくても、質問が違えば答えにはならない。
僕が学歴の話で一番警戒するのは、この“正しい数字を、別の質問の答えに使う”ことだ。
98%は新卒市場の全体像を知る数字。 学歴フィルターの有無を当てる数字ではない。
選考が進むほど、大学名以外の材料を企業へ渡せる
応募した瞬間、企業があなたについて知っていることは少ない。
大学名、学部、成績、ES。 そこからWebテスト、面接、研究説明、制作物、インターン経験などが増えていく。
特に技術職では、専攻や研究テーマ、開発経験を詳しく聞かれることがある。
ここで僕が面白いと思うのは、選考が進むほど、自分から渡せる情報が増えることだ。
大学名は今から変えられない。 でも、研究を1分で説明する力は変えられる。 Webテストは勉強できる。 制作物は増やせる。 インターンへ応募できる。
大学名の影響が途中で完全に消える、とまでは言えない。 ただ、自分で追加できる材料は確実に増える。
なら、時間の置き場所もそちらへ寄せた方がいい。
「学歴フィルター企業一覧」は、地図に見えて地図ではないことがある
ネットには「学歴フィルターがある企業一覧」が大量にある。
中には体験談や調査をもとにしたものもあるだろう。 でも、根拠や調査方法が見えない一覧も多い。
その会社が本当に大学名で切ったのか。 Webテストだったのか。 募集職種の条件だったのか。 単に応募者数が多かったのか。
外からは区別できないことがある。
だから僕なら、匿名の一覧を100社眺めるより、受けたい3社の採用ページを開く。
応募資格。 対象学部・専攻。 職種別採用。 学校推薦。 インターン経由の選考。 選考フロー。
ここに書かれている条件は、少なくとも実際の応募判断に使える。
「自分の大学で受かるか」という巨大な不安を、「この職種に応募資格があるか」という小さな問いへ切る。 それだけでもかなり違う。
30分だけ、見えない配点表を閉じる
学歴の影響を完全に可視化する方法はない。
でも、30分あれば見えるものはかなりある。
興味のある企業を3社開く。 採用ページで応募資格、職種、専攻条件、学校推薦の有無を見る。 選考フローが公開されていれば、ES、Webテスト、面接、技術面接のどこがあるか書き出す。
そして最後に、今月変えられるものを一つだけ決める。
Webテスト。 研究説明。 制作物。 インターン応募。 英語。
何でもいい。
この30分で学歴フィルターの正体は分からない。 でも、「自分には何もできない」という感覚はかなり減らせる。
見えない配点を当てるゲームから降りる
大学名が選考に一切影響しないとは言えない。
だから「学歴なんて気にするな」と雑に励ますつもりもない。
ただ、大学名の配点が見えない以上、それを正確に当てるゲームには終わりがない。
僕なら、そのゲームに使う時間を途中で切る。
受けたい企業の入口を確認する。 今の自分に足せる評価材料を一つ増やす。
見えない配点表は閉じていい。
求人票と、自分の準備は開ける。
参考資料 2
- 公正な採用選考の基本 — 厚生労働省(確認 2026/8/30)
- 令和8年3月大学等卒業者の就職状況 — 厚生労働省・文部科学省(確認 2026/8/30)
