電通大と都立大、3年次は「南大沢駅徒歩5分」だけでは読めない

都立大システムデザインは、専門が深まる時期に主な学びの場が日野へ寄る。南大沢と日野、二つの通学を最初から比べる。

「南大沢駅から徒歩5分」は、4年間ずっと自分の数字ではない

東京都立大のシステムデザイン学部を調べると、南大沢キャンパスの「南大沢駅から徒歩約5分」というアクセスがまず目に入る。駅に近く、通学の景色も想像しやすい。

ただ、その5分だけで4年間を想像すると途中が抜ける。

システムデザイン学部では1・2年次を南大沢で学び、3・4年次は主に日野キャンパスで専門を深める。一部の専門授業は2年次後期から日野で開講される。日野キャンパスは公式案内で、豊田駅から徒歩約20分、北八王子駅から約15分だ。

専門が本格化するころ、学ぶ内容だけでなく、駅を降りてからの道も変わり得る。

電通大と東京都立大で、専門決定とキャンパス・通学の変化を時系列で示した図

電通大との比較で僕が気になるのは、キャンパスが二つあること自体ではない。専門が深くなる時期と、生活の地図が変わる時期が重なっていることだ。

とはいえ、3年になった瞬間に全部が日野へ移るわけでもない

ここは単純化すると逆に分かりにくくなる。都立大の公式ページには、1・2年次は南大沢、3・4年次は日野と説明するものがある一方、学部紹介では3・4年次を「日野キャンパス・南大沢キャンパス」としている。

したがって、「3年生になれば全授業が日野」とまでは言えない。学科や授業によって南大沢を使う可能性があり、情報科学科などの案内では専門教育の場として日野が明確に出てくる。

受験生に必要なのは、「南大沢か日野か」という二択ではない。自分の志望学科で3・4年次にどのキャンパスをどのくらい使うのかを確認することだ。大学全体のアクセスページより、学科ページや時間割、履修案内の方が自分の生活に近い。

この確認をすると、キャンパス移動の意味も少し変わる。

日野への移動は、専門化と同時に起きる

システムデザイン学部では、1・2年次で基礎を学び、2年次後半から専門科目が増え、3・4年次には研究室や専門が現実のものになる。その時期に、主な学びの場も日野へ寄っていく。

場所だけが変わるわけではない。学問の解像度が上がるのと同じ時期に、生活圏も書き換わる。

だから日野への移動を、単純なアクセス上の欠点とも言い切れない。専門設備や研究環境を使うために専門キャンパスへ比重が移る、と見ることもできる。ただ、その価値と通学負担は別々に見た方がいい。

知らずに3年で変わるのと、分かった上で選ぶのでは違う。

電通大は、専門が細くなっても生活の中心が動きにくい

電通大ではⅠ・Ⅱ・Ⅲ類で入学し、2年次後学期から専門教育プログラムへ進む。専門の名前も学ぶ内容も細くなるが、大学生活の中心は調布キャンパスのままだ。

派手な差ではない。けれど4年、院まで見れば6年の生活では効いてくる。

都立大システムデザイン学部では、専門化と同時に主な生活圏も動く。電通大では専門化しても主な通学先が固定されやすい。二校を比べるなら、「専門をいつ決めるか」だけでなく、専門を決めたあと、どこへ通うのかまで一緒に見たい。

その二つは別々の話に見えるが、毎日の生活では同時に起きる。

最初の専門分岐は、都立大の方が早い

電通大は受験時にⅠ・Ⅱ・Ⅲ類を選び、2年次後学期に各類の専門教育プログラムへ進む。都立大システムデザイン学部は、情報科学、電気電子工学、機械システム工学、航空宇宙システム工学、インダストリアルアートなど、入学時に学科名を選ぶ。

高校3年の段階で持つ看板は、都立大の方が具体的だ。

ただ、大学での専門選択は一回のボタンではない。学科へ入ったあとも、授業や研究室でさらに細かく分かれていく。差があるのは、「全部を決める時期」ではなく、最初の分岐をどこまで太く残すかだと思う。

情報、通信、電子、制御の間でまだ揺れているなら、電通大の類制は使いやすい。情報科学や航空宇宙など、学科名の段階でやりたい方向がかなり見えているなら、都立大の入口は理解しやすい。

航空宇宙とインダストリアルアートは、比較の景色を変える

情報・電気電子・機械だけを見れば、二校の専門領域はかなり重なる。ところが都立大システムデザイン学部には、航空宇宙システム工学科とインダストリアルアート学科がある。

電通大にもロボティクス、機械、制御、デザイン思考など近い要素はあるが、航空宇宙やインダストリアルアートを独立した学科として置いているわけではない。

第一志望が機械でも、航空宇宙に少し惹かれている。技術だけでなくデザインにも興味がある。その「少し」が4年間で大きくなることはある。

僕なら第一志望の学科だけでなく、その隣に何が置かれているかも見る。興味が横へ動いたとき、周囲の分野が大学の景色を変えるからだ。

情報・電気電子で迷うなら、大学名より研究室まで降りる

都立大の情報科学科は情報技術を軸にし、電気電子工学科はエネルギー、信号、計測、デバイスから通信、情報、制御まで扱う。電通大にもコンピュータサイエンス、情報通信、電子情報、電子工学、計測・制御など近い専門がある。

ここまで重なると、「どちらが情報に強いか」と大学名だけで聞くほど答えが遠くなる。無線、半導体、AI、制御、画像処理のどれをやりたいのかまで下げた方が早い。

公開就職先にもNTTデータ、日立、NEC、三菱電機、富士通など重なる企業が多い。会社名の豪華さで勝敗を作るより、候補研究室を三つずつ選び、その研究の出口を見る方が実用的だと思う。

日野への移動が「不便」かどうかは、自宅から測らないと分からない

南大沢駅からは徒歩約5分。日野キャンパスは豊田駅から約20分、北八王子駅から約15分。駅からの最後の徒歩だけなら長くなる。

しかし、自宅の位置によっては日野の方が総通学時間が短い人もいる。使う路線も変わり、大学にはキャンパス間の連絡手段もある。

だから「都立大は3年から不便になる」と一律に結論づけるのも雑だ。

受験前に確認するなら、自宅から南大沢キャンパスまでと、自宅から日野キャンパスまでの二つを、同じ平日朝の条件で出しておく。見るのは総所要時間、乗換回数、駅からの徒歩だ。

都立大システムデザイン学部は、大学を一つ選ぶのに通学経路を二枚持っておいた方がいい。

合格日の景色より、3年生の月曜を置いてみる

大学を選ぶときは、どうしても入学直後を想像しやすい。けれど、4年間の後半ほど専門も研究室も濃くなる。

都立大なら、そのころ主な行き先が日野へ寄る。電通大なら、類からプログラムへ専門が細くなっても調布が生活の中心に残る。

僕なら最後に、3年生の月曜1限を置いてみる。何を学んでいて、どの駅で降り、そこから何分歩くのか。

「南大沢駅徒歩5分」は間違っていない。ただ、それだけでは4年間を表していない。

専門が深くなるとき、通学も変わる。その変化まで見えて初めて、キャンパスは住所ではなく教育設計の一部になる。

参考資料 10
  1. 学ぶ — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
  2. 進路状況 — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
  3. システムデザイン学部 — 東京都立大学(確認 2026/8/30)
  4. システムデザイン学部について — 東京都立大学(確認 2026/8/31)
  5. 情報科学科 — 東京都立大学(確認 2026/8/30)
  6. 電気電子工学科 — 東京都立大学(確認 2026/8/30)
  7. 機械システム工学科 — 東京都立大学(確認 2026/8/30)
  8. システムデザイン学部 キャンパスマップ — 東京都立大学(確認 2026/8/31)
  9. システムデザイン学部 アクセス — 東京都立大学(確認 2026/8/31)
  10. 大学院 情報科学域 — 東京都立大学(確認 2026/8/30)
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