電通大と農工大、偏差値表では近い。でも4月から歩く道はかなり違う
第一志望より、興味が変わったときの第二志望を見る。情報・通信・電子か、生命・化学・農学かで二校の差が出る。
学歴研究会偏差値表の外側を見る大学観察者似ているのは、偏差値表の上に並べたときまで
電通大と東京農工大は、受験生の比較表ではよく隣に置かれる。 東京の国立。理工系。情報も機械もある。大学院へ進む学生も多い。
ここまで書くと、ほとんど兄弟みたいだ。
でも、入学した学生が4月から歩く道はけっこう違う。
電通大はⅠ・Ⅱ・Ⅲ類という広めの入口から入り、2年次後学期に15の専門教育プログラムへ進む。 農工大工学部は、生命工学、生体医用システム工学、応用化学、化学物理工学、機械システム工学、知能情報システム工学という学科名を背負って入学する。
この違いは、単なる制度説明ではない。
18歳の自分に、どこまで専門を決めさせるか。 二校の差はそこから始まる。
第一志望より、第二志望の専門を聞くと差が出る
「情報系に行きたい」と言うだけなら、どちらにも道はある。
電通大ならコンピュータサイエンス、情報数理、メディア、データサイエンス、セキュリティ、情報通信、電子情報などへ枝分かれする。 農工大の知能情報システム工学科も、情報工学だけではなく、通信、信号処理、電子デバイス、パワーエレクトロニクスまで扱う。
だから「情報なら電通大、機械なら農工大」と切るのは雑だ。
僕がこの二校で一番聞きたいのは、第一志望ではなく第二志望の専門だ。
もしAIへの興味が薄れたら、次にやりたいのは通信か、電子か、ロボットか。 それとも生命、化学、材料なのか。
第二志望が通信・電子・制御なら、電通大の密集した情報理工の世界はかなり強い。 第二志望が生命・化学・農学へ向くなら、農工大の大学全体の広がりは、電通大にはない逃げ道になる。
第一志望は変わる。 大学を選ぶとき、その可能性をもう少し信用してもいいと思う。
農工大は、情報・機械の外へ出た瞬間に別の顔になる
農工大工学部には生命工学や応用化学がある。 そして大学全体では農学部も持つ。
この部分は、電通大とかなり違う。
電通大にも化学生命工学はあるが、大学全体の重心は情報、通信、電子、制御、機械、物理に強く寄っている。
だから僕なら、「今は情報が第一志望」という人ほど、あえて情報のページを閉じてみる。
その大学で、情報以外に何を面白いと思えるか。
農工大で生命工学を見て少し心が動くなら、それはかなり重要な情報だ。 電通大でロボティクスや情報通信へ寄り道したくなるなら、それも重要だ。
大学の守備範囲は、興味が変わった日に効いてくる。
同じ東京でも、毎朝乗る線は違う
電通大は調布駅から徒歩5分と案内されている。 農工大工学部は小金井キャンパスにあり、東小金井駅から南口徒歩約8分、nonowa口から約6分。
駅からの徒歩だけなら、決定的な差ではない。
問題は、調布が京王線で、東小金井が中央線だということだ。
大学比較サイトで「東京都内」と書けば一行で終わる。 でも、学生は東京都内へ通うわけではない。毎朝、具体的な一本の路線へ乗る。
僕なら候補が二校まで絞れた時点で、平日1限に間に合う経路を検索する。 オープンキャンパスの日の昼ではなく、朝で見る。 大学生活のかなりの部分は、その画面に出てくる。
どちらも、四年間だけ見ていると少し短い
電通大は情報理工学域・学部卒業生のおよそ7割が大学院へ進む。
農工大では令和7年度の学部卒業者全体で80.8%が進学している。農学部も含む全学数字なので、電通大の7割とそのまま勝負させる数字ではない。 知能情報システム工学科も、学科案内で卒業生の約80%が大学院へ進むとしている。
細かい院進率ランキングを作るより、ここでは両方とも修士が珍しくない大学と読めば十分だと思う。
むしろ見たいのは研究室だ。
学部4年で始めたテーマを、修士で二年続けたいと思える場所があるか。 6年まで伸ばして考えると、学科名や類名より研究室の差が急に大きくなる。
電通大の7割院進も、受験時から6年後を仮置きすると意味が変わる。
就職先の会社名が似るなら、そこは勝負の場所ではない
両校の公開資料には、IT、電機、自動車、製造業、研究開発系の企業が並ぶ。 電通大ではNTTドコモ、日立製作所、NEC、富士通、本田技研工業、三菱電機など。 農工大でもトヨタ自動車、東京エレクトロン、NEC、NTTデータ、三菱重工業、三菱電機などが見える。
会社名を眺めるだけなら、かなり似ている。
だったら、ここで無理に優劣を作らなくていい。 同じ会社でも職種は違うし、学生数も専攻構成も違う。
就職で比べるなら、会社名の豪華さではなく、自分が行きたい職種につながる研究室がどこにあるかへ戻る方がいい。
両方受かったら、「第一志望が消えた世界」で考える
もし両方受かったら、第一志望の研究分野をいったん消してみる。
AIをやりたかったけれど、二年後に違うと思った。 機械をやりたかったけれど、実験をして興味が変わった。
そのとき、次にどこへ行きたいか。
通信、電子、制御、ロボティクスへ滑るなら、僕は電通大の方を面白く感じる。 生命、化学、農学まで視界に残したいなら、農工大の広さはかなり魅力的だ。
最後に研究室を三つずつ選んで、第一候補を一つ消してみる。 残った二つにも行きたいと思えるか。
偏差値表では近い二校でも、興味が変わった日の逃げ道はかなり違う。 僕なら、そこを最後の一票にする。
参考資料 9
- 学ぶ — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 進路状況 — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 主な就職先 — 電気通信大学(確認 2026/8/31)
- 電通大ってどんな大学? — 電気通信大学(確認 2026/8/31)
- 知能情報システム工学科 — 東京農工大学(確認 2026/8/30)
- 知能情報システム工学科 Q&A — 東京農工大学(確認 2026/8/30)
- 機械システム工学科 — 東京農工大学(確認 2026/8/30)
- 進路状況 — 東京農工大学(確認 2026/8/30)
- 交通・キャンパスマップ — 東京農工大学(確認 2026/8/31)