電通大と横国で迷ったら、まず「駅から門まで」を測ってほしい
学問が近い二校だからこそ、毎朝の最後の10〜15分が効く。通学と専門の束ね方を同じ重さで比べる。
学歴研究会偏差値表の外側を見る大学観察者「横浜国大」という名前から、横浜駅の近くを想像すると少しずれる
大学比較では、キャンパス欄はだいたい小さい。 偏差値、就職、研究、その下に「所在地」が一行ある。
でも学生は、所在地へ通うわけではない。 毎朝、駅を降りて、門まで歩く。
横国の常盤台キャンパスは、大学公式では三ッ沢上町駅から正門まで徒歩約16分、和田町駅から南門・南通用門まで約20分、羽沢横浜国大駅から西門・北門まで約15分。横浜駅から大学内へ入る平日のバスもある。
電通大は調布駅から徒歩5分と案内されている。
この差を「立地の話」で済ませるのは、少しもったいない。 僕は、電通大と横国が学問面で拮抗する人ほど、駅から最後の10分を軽く見ない方がいいと思う。
片道10分は、四年間だとかなり長い
もちろん、自宅から駅までの距離も、使う路線も人によって違う。 だから「横国は必ず通学が大変」と言うつもりはない。
ただ、時間の差は積もる。
たとえば仮に、片道10分の差があり、年間150日を4年間通うとする。 往復20分 × 600日で、200時間になる。
これは実際の授業日数でも、あなたの通学差そのものでもない。単なる仮置きだ。 でも「片道10分くらい」を四年間へ伸ばすと、急に小さく見えなくなる。
大学名は毎朝、駅から歩いてくれない。
僕なら二校まで絞れた時点で、平日1限に間に合う経路を出し、最後に使う門と志望学科の建物まで見る。 オープンキャンパスの日の印象より、そっちの方が四年間に近い。
学問では、かなり似た場所まで行ける
通学だけで決める話ではない。 情報、電気電子、通信、機械を考えると、二校の守備範囲はかなり重なる。
電通大はⅠ・Ⅱ・Ⅲ類から15の専門教育プログラムへ進む。 情報だけでもコンピュータサイエンス、データサイエンス、セキュリティ、情報通信、電子情報などへ細かく分かれる。
横国の理工学部数物・電子情報系学科には、数理科学、物理工学、電子情報システム、情報工学の四つの教育プログラムがある。
ここで面白いのは、同じような分野を、別の切り方で束ねていることだ。
電通大は情報理工の中を細かく横へ切る。 横国は数理、物理、電子情報、情報工学を同じ学科の中に並べる。
大学名の印象より、かなり制度の癖が違う。
情報を一本にまとめる横国、隣接分野へ分ける電通大
横国の情報工学教育プログラムは、ソフトウェア、プログラミング言語、データベース、AI、画像・音声・言語処理、ネットワーク、セキュリティなどを扱う。
「情報工学」という一本の入口の中で、かなり広く持つ。
電通大は違う。 同じ“情報”でも、Ⅰ類のコンピュータサイエンスや情報数理、メディア、データサイエンスと、Ⅱ類のセキュリティや情報通信へ分かれている。
僕なら、ここは好みが出ると思う。
情報工学という看板を早めに一本立て、その中で深めたいなら横国は分かりやすい。 通信やセキュリティ、電子との境目を、別プログラムとして見比べながら絞りたいなら電通大の方が面白い。
電気電子まで行くと、大学名より研究室名の方が役に立つ
横国の電子情報システム教育プログラムは、電気、電子、通信、情報を広く扱う。 電通大にも情報通信工学、電子情報学、電子工学があり、かなり近い領域へ行ける。
ここまで来ると、「横国と電通大のどちらが上か」という問いは急に解像度が落ちる。
無線なのか。 回路なのか。 デバイスなのか。 制御なのか。
同じ大学の中でも研究室が変われば、四年生の生活は別物になる。
僕なら電気電子で迷っている人には、大学比較ページを閉じて研究室一覧を三つずつ開くことを勧める。 この領域では、大学名の差より研究テーマの差の方が自分の毎日に近い。
就職先が似ているなら、会社名で勝者を作らない
電通大と横国の公開就職先には、日立製作所、三菱電機、自動車、通信、ITなど共通する業界が多い。 横国の令和6年度理工学部でも、日立製作所、東京エレクトロン、日産自動車、トヨタ自動車などが並ぶ。
この手の会社名リストは、見栄えがいい。 だから比較記事ではつい「どっちが強い」に使いたくなる。
でも学生数も専攻構成も違う。同じ会社でも職種は分からない。
僕は、ここで勝者を作るのはあまり意味がないと思う。 就職先は格付け表ではなく、その専門がどの産業へ出ていくかを見る地図として使う方がいい。
大学院まで考えるなら、なおさら研究室へ戻った方が早い。 電通大は学部卒業生のおよそ7割が院へ進む。横国も理工系から自大学院や他大学院への進学実績を公開している。 四年後より、六年後の研究テーマで比べた方が差が出る人は多い。
僕なら、学問が五分五分なら通学を最後の一票にする
電通大と横国は、情報・電子の分野ではかなり近いところまで行ける。 専門の束ね方は違うけれど、どちらにも面白い研究室が見つかる人はいるはずだ。
そんなときまで「偏差値が一つ高い」「大学名の響きが好き」で決める必要はない。
僕なら、研究室を三つずつ選ぶ。 そのうえで、平日朝の通学を出す。 最後に駅から建物まで歩く時間を見る。
学問が五分五分なら、毎週繰り返す生活を最後の一票にしていい。
大学名は四年間、毎朝駅から歩いてはくれない。
参考資料 8
- 学ぶ — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 進路状況 — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 電通大ってどんな大学? — 電気通信大学(確認 2026/8/31)
- 数物・電子情報系学科 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 情報工学教育プログラムの教育理念・目標 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 電子情報システム教育プログラム 分野・EPの概要 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 卒業生の就職状況(所属別) — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- アクセス案内 — 横浜国立大学(確認 2026/8/31)