電通大と横国、「駅から門まで」でもまだ足りない
横国の電子情報系研究室は複数棟に分散する。自宅→大学名ではなく、自宅→志望研究室の建物まで測って比べる。
学歴研究会偏差値表の外側を見る大学観察者横国は、門に着いてもまだ着いていない
横浜国立大の常盤台キャンパスは、大学公式で三ッ沢上町駅から正門まで徒歩約16分、和田町駅から南門・南通用門まで約20分、羽沢横浜国大駅から西門・北門まで約15分と案内されている。電通大は調布駅から徒歩5分だ。
この差を見ると、「駅から大学まで何分か」を比べればよさそうに思える。
ただ、横国の電子情報システム教育プログラムを研究室の所在地までたどると、電子情報工学棟N6-2、生物・電子情報棟S7-2、工学基礎研究棟S5-6、総合研究棟S9-1など、複数の建物に分かれている。
学生は門に通うわけではない。
三ッ沢上町から16分という数字は正門までで、その先に授業や研究室の建物がある。横国と電通大で通学を比べるなら、僕は「自宅→大学」ではなく、自宅→自分が通いそうな棟まで出したい。
「徒歩16分」の終点を確認する
アクセス情報そのものが間違っているわけではない。問題は、数字がどこで止まっているかだ。
三ッ沢上町から約16分は正門まで、羽沢横浜国大から約15分は西門・北門まで。その先のキャンパス内移動は、使う建物によって変わる。研究室配属後なら、どの門から入り、どちらへ歩くかまで毎日の生活に効いてくる。
一方で、横浜駅から学内へ乗り入れる平日のバスという選択肢もある。だから「横国は毎日必ず20分歩く」と決めるのも正しくない。
必要なのは、自宅の位置、使う路線、使う門、通う棟の組み合わせだ。大学サイトのアクセス案内は来訪者全体のための情報だが、受験生が本当に知りたいのは自分の4年間の動線になる。
門までの数字は、まだ途中だ。
片道10分は、四年間でも10分なのか
通学時間は人によって違うので、横国の方が一律に不便だとは言えない。それでも、小さな時間差を四年間へ伸ばしてみる意味はある。
たとえば片道10分の差があり、年間150日を4年間通うと仮定する。往復20分×600日で200時間になる。150日も10分も実測値ではなく、桁を見るための思考実験にすぎない。
それでも、「10分くらい」を毎日の誤差として捨てる感覚は変わる。院まで進めば期間はさらに延びる。
僕は通学時間を、大学生活で毎朝引かれる固定費として見る。授業料のような請求書は来ないが、時間は確実に減る。学問の魅力がほぼ五分五分なら、この固定費を最後の一票にしてもいいと思う。
ただ、二校の学問は本当に五分五分なのか。そこは大学名では分からない。
情報・電子では、かなり近い領域まで行ける
電通大と横国は、情報、電気電子、通信の周辺で専門領域がかなり重なる。
電通大はⅠ・Ⅱ・Ⅲ類で入り、2年次後学期から各類の専門教育プログラムへ進む。情報系でもコンピュータサイエンス、情報数理、メディア、データサイエンス、セキュリティ、情報通信、電子情報などに分かれる。
横国の理工学部数物・電子情報系学科には、数理科学、物理工学、電子情報システム、情報工学の四つの教育プログラムがある。
扱う分野が似ていても、束ね方は違う。電通大は情報理工の内部を細かいプログラムへ分け、横国は数理・物理・電子情報・情報工学という大きな柱を同じ学科に置く。
偏差値表では見えにくいが、入学後に専門を眺めるときの景色はここで変わる。
横国は一つの看板の中で広げ、電通大は隣接分野を別名で見せる
横国の情報工学教育プログラムでは、ソフトウェア、プログラミング言語、データベース、AI、画像・音声・言語処理、ネットワーク、セキュリティなどを扱う。一つの「情報工学」の中にかなり広い領域が入っている。
電通大では、近いテーマがコンピュータサイエンス、情報数理、メディア、データサイエンス、セキュリティ、情報通信など、複数のプログラム名として見える。
どちらが広いかというより、広さの見せ方が違う。
情報工学を一つの軸として持ちたい人には横国の構造が分かりやすい。通信やセキュリティ、電子との境目を別々のプログラムとして比較しながら専門化したい人には、電通大の構造が合う可能性がある。
ここまで来ると、「電通大か横国か」だけではまだ粗い。
電気電子なら、棟の名前が比較材料になる
横国の電子情報システム教育プログラムは、電気、電子、通信、情報を広く扱う。電通大にも、情報通信、電子情報、電子工学、計測・制御など近い領域がある。
無線、回路、デバイス、信号処理、制御。興味をこのくらいまで細かくすると、大学名より研究室の方が生活を左右し始める。
そして横国では、その研究室がどの棟にあるかで動線まで変わる。
電子情報系で迷っているなら、僕なら両校から研究室を三つずつ選ぶ。横国側では、その研究室がN6-2、S7-2、S5-6、S9-1のどこにあるかまで確認する。
ここで初めて、通学と研究テーマが同じ地図に載る。
就職先は勝敗表より、研究の出口として見る
電通大と横国の公開就職先には、日立製作所、三菱電機、東京エレクトロンをはじめ、自動車、IT、通信など同じ産業の企業が多く現れる。
会社名だけを並べれば、どちらも強そうに見える。ただ、学生数も専攻構成も違い、同じ会社でも職種は分からない。学部卒と修士修了でも見え方は変わる。
だから会社名リストを大学の戦闘力表にはしない方がいい。
行きたい職種を先に置き、その職種につながる研究室を見る。そのあとで、研究室や専攻の出口として就職先を確認する。順番を変えるだけで、「有名企業が多い方」という比較からかなり離れられる。
広いキャンパスは、負担にも研究環境にもなる
横国の広さを通学時間だけで見ると、すべて欠点のように聞こえる。けれど、複数分野の建物が一つの広いキャンパスにあり、研究室が散らばっていること自体は大学の研究環境でもある。
移動を負担と感じるか、大学らしい空間として魅力に感じるかは、地図だけでは決めにくい。
だからパンフレットの航空写真だけで「広くて良い」とも、「歩くから悪い」とも決めない。自分が使いそうな門から研究室候補の棟まで、一度歩くか地図上で追ってみる。
広さにも、自分の動線がある。
最後に測るのは、大学までではなく研究室まで
電通大と横国は、情報・電子の専門だけを見ればかなり近いところまで行ける。だから最後の差を大学名や偏差値だけで作るより、4年間の生活を具体化した方がいい。
研究室を三つずつ選ぶ。平日1限の時間で経路を出す。横国なら、使いそうな門と建物まで追う。
学問が五分五分なら、その差は無視しなくていい。
「三ッ沢上町駅から正門まで16分」は正しい。ただ、正門は授業をせず、研究室にもならない。
四年後に毎週開ける建物のドアまで測って、ようやく通学比較になる。
参考資料 10
- 学ぶ — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 進路状況 — 電気通信大学(確認 2026/8/30)
- 電通大ってどんな大学? — 電気通信大学(確認 2026/8/31)
- 数物・電子情報系学科 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 情報工学教育プログラムの教育理念・目標 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 電子情報システム教育プログラム 分野・EPの概要 — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- 電子情報システムEP アクセス — 横浜国立大学(確認 2026/8/31)
- 電子情報工学棟 — 横浜国立大学(確認 2026/8/31)
- 卒業生の就職状況(所属別) — 横浜国立大学(確認 2026/8/30)
- アクセス案内 — 横浜国立大学(確認 2026/8/31)